週刊新潮 よろず 医者いらず 旭利彦 文
竹炭の副産物「竹酢液」の使われ方
竹炭をつくる際に出る煙や水蒸気を冷却して精製すると褐色の液体が採取できる。いわば竹炭焼きの副産物なのだが、この液体『竹酢液』の評判が広がりつつある。 伊豆下田の炭焼き体験施設『下田市営あずさ山の家』の施設長、土屋斉さん(56)はいささかこの人気に戸惑い気味だ。 「最近、竹酢液を買っていくお客さんが急に増えてきました。なんでも、花粉症やアトピーの体質改善に効果があるとか。うちとしては、土壌の改良や活性化に用いてもらうため販売しているんですが、どうも違う使われ方をされているようで・・・・・」竹炭については近年、その殺菌や脱臭、除湿効果が注目されるようになった。例えば、押し入れや靴箱には竹炭脱臭・除湿剤、臭い足には竹炭靴下、水道水をおいしくする竹炭浄水剤、竹炭を使ってお茶を沸かしたり、炊飯ジャーの中に入れて、ご飯を炊くとおいしくなるとか。竹炭で町おこしを目指している石川県津幡町の倶利伽羅竹炭生産組合の香林充さん(65)は話す。
「うちで販売している竹炭製品の中で人気ナンバーワンなのは竹酢液。血糖値を下げる効果があるということで、竹酢液をのんで血糖値を下げたという人が何人もいます」
民間で、その効果への注目度が高まったきっかけをつくり出したのは、竹酢液研究の第一人者である京都大学木質科学研究所の野村隆哉氏(59)。3年ほど前、その野村氏が健康雑誌やアトピー専門誌などで、竹酢液の健康面の効果を紹介したころから、新たなブームが始まったようだ。野村氏が竹酢液に着目したのは、今から10年前。「福井県のある国立病院で、重度のアトピー性皮膚炎の子供に竹酢液を使用したところ、炎症を抑える効果があることがわかったということを聞き、研究してみようと思い立ちました」
アトピー性皮膚炎の治療でもっともスタンダードで効果が認められるのが、ステロイド系の抗ヒスタミン剤の塗布。「竹酢液はこの抗ヒスタミン剤と同じような効果を挙げる可能性が高いことがわかってきました。つまり、アトピー性皮膚炎の特徴である痒みを抑えるのに効果的なのです」
竹酢液の主成分は殺菌・消炎作用がある酢酸とフェノール。そのほかに数百種類の有機成分が 含まれているとみられ、これらが総合して、ヒスタミンによって引き起こされると考えられる皮膚炎の症状を抑えるのだという。
「しかも、抗ヒスタミン剤の場合は、下手な使い方をすると副作用の可能性もあります。その点、竹酢液には副作用の原因となる含窒素成分は含まれていませんから、塗布による副作用をあまり心配しないで使用で使用できるとおもわれます」
こうした効果が注目され、医薬品ではないが、国内のいくつかの病院で実際にアトピー性皮膚炎の治療に試みられているというのだ。
一方で、中年世代に特に気になる血糖値を下げる効果について聞いてみた。
「私の知人が血糖値で悩んでいたところ、1か月間、竹酢液を毎日飲み続けたら、260ミリグラムあった血糖値が140ミリグラムに下がったというのです」ということは、竹酢液は糖尿病に何らかの効果があるようだが、なぜ効くのか。
「自分なりに推論を立ててみました。血糖値の上昇を抑える働きを持つのが、インスリンというホルモンですが、糖尿病ではこれが結晶となって膵臓の中に溜まり、本来の働きをしなくなる」このインスリンを活性化する成分が竹酢液にはふんだんに存在するという。
「そこで、こう考えました。竹酢液の成分がインスリンの活性化を促し、血糖値を下げる効果をもたらすのではないか。ただし、これは現段階では医学的、薬学的に実証されているものではなくインスリンの機能からの推論に過ぎません」
血糖値降下作用は、先の野村氏の知人のほかにも、いくつも実例があるという。ただし、この竹酢液は現時点では、薬事法で飲用は規制されているということなので、利用するのも自己責任で、ということなのだろう。








